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プロ野球界の名将による組織・采配に関する自著4選

平成のプロ野球監督で名将といえば?

 

20年来のプロ野球ファンの私が独断と偏見と個人的嗜好で、選んだのはこの4人。

彼らの自著は、ビジネスや人生で参考になる点も多い。ここでは、彼らの自著を4つ紹介する。

 

 

落合博満 采配

プロフェッショナルとは、「自立型人間」である。孤独に勝てる人間である。

高校は不登校、大学は中退、25歳で社会人からプロ入りという遅いプロ入りから、通算2000本安打、史上唯一の3度の3冠王を取るまでに至り、監督としては8年間全てAクラス、優勝4回という圧倒的な結果を残してきた同氏。プロ野球選手の中では有利な出自とはいえない彼が、日本トップクラスの結果を残し続けてきたその裏で何を考えてきたのか、その一端が知れる。

「誰もクビを切らず、補強もせずに、現有戦力を10%底上げして優勝する」と宣言して監督初年度に優勝したエピソード、春季キャンプの練習から、試合での采配、オールスターの監督推薦、マスコミ回避など、数々のオレ流な行動の背景が本人の言葉で語られている。つまらない野球と言われるっこともあったが、プロ野球の監督は、勝利とファンサービスという相反する2つを求められが、プロとしての自分の仕事は勝利だと

つまらない野球だと言われることもあったが、ファンサービスではなく自分の仕事は勝利だと潔く割り切ったように、プロ野球監督の中でもかなり合理的で面白い。マネージャーとしてというより1人のプロフェッショナルとして、日本一の成果を残す人はこんな合理的な考え方をするんだなーと体感できる1冊。

原辰徳 原点ー勝ち続ける組織作り

落合博満監督とは、出自もキャラクターも対比的で面白い。父親が有名監督で、自身も端正な顔立ちで甲子園のスターから巨人にドラフト1位氏名からの巨人の4番。根っからのスターである。マスコミ出演よりも休養や調整を重視するようにファンサービスに乏しい落合監督に対してマスコミを通じてファンをドキドキさせようなコメントを常に考えている原監督、社会人出身の落合監督がベテラン好きなのに対して高卒出身の原監督は若手好き、手堅くバントが多かった落合監督に対して動く野球をする原監督。孔子曹操諸葛孔明宮本武蔵上杉鷹山直江兼続ら歴史上の偉人に、監督としての藤田元司長嶋茂雄王貞治、原貢ら多くの人に学んでいるエピソードや、影響力は「素直さ」「朗らかさ」「謙虚さ」と説く節など、原監督の思考の一旦が知れる1冊。

 

原点―勝ち続ける組織作り

原点―勝ち続ける組織作り

 

 

栗山英樹 覚悟ー理論は新人監督は、なぜ理論を捨てたのか

ダルビッシュMLBに挑戦した2011年オフに報道ステーションのキャスターから、日本ハム監督に就任し、2012年オフにはMLB志望の大谷翔平口説き落として日本ハムに入団させたことが記憶に新しい栗山監督。なぜ、開幕投手に2010年ドラ1の斎藤佑樹を選んだのか、言葉を扱うメディアでの仕事が多かったからこそ大切にする言葉、中田翔への期待、稲葉の2番起用、、、監督就任1年目に何を考えていたのか。三原脩野村克也星野仙一など先人たちに学びながらも、当事者として現場の感覚も大切にして命を削って監督をしている様が臨場感を持って書かれている。「その年の1番いい選手を指名する」という不変の方針と鬼のくじ引きの強さで、糸井嘉男ダルビッシュ有中田翔斎藤佑樹大谷翔平等、獲得したスター選手達をどのように栗山監督が采配するのか、今後も楽しみです。

 

覚悟 理論派新人監督は、なぜ理論を捨てたのか

覚悟 理論派新人監督は、なぜ理論を捨てたのか

 

 

アレックス・ラミレス CHANGE!ー人とチームを強くする、ラミレス思考

ゲッツなどのパフォーマンスで人気を博し、陽気なラテン系助っ人外国人のイメージが強いラミレスだが、緻密な戦略で選手として日本野球に順応し、虎視眈々と監督の座を狙ってキャリア終盤にDeNA移籍をし、監督としてはデータを重視する合理的で知性な人間であることがよく分かる本。

セリーグのバッターは3つの理由で内角球に弱い、配球を読むならキャッチャー、バッターを威圧するために投手は打者に少しでも近づいてボールを受け取れ、といった現場レベルの戦略や、打順や選手交代といった采配、中長期的なチーム編成など、聡明な彼の戦略を惜しげもなく披露している。万年最下位のチームを1年目からAクラス、その後も優勝争いの常連に育て上げたラミレスの深い洞察と戦略は必見。データ分析に強い親会社のDeNAと、データを重視するラミレス、そしてマッキンゼー出身の頭脳明晰経営者の後押しと、これからもラミレスDeNAベイスターズが楽しみになる1冊。