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トップカンファレンスとはなんぞや

 

トップカンファレンスとは?

研究室に入りたての頃に、「トップカンファレンス」と聞いても、凄いらしいけどイマイチどう凄いのかが分からないという状況だったので、修士2年までに理解したことをまとめておく。なお、筆者は情報系の学生なので、以降は情報系(Computer science/CS分野)のトップカンファレンスに関してである。

 

CS分野のトップカンファレンスとは端的に言うと?

CS分野の世界最高峰の国際会議。

 

他との比較

ジャーナルとの比較

情報系では、トップカンファレンスの方が比較的重要視されている。

  • 他分野:情報系以外のほとんどの研究分野では、ジャーナルの方が権威が高いとされる。ジャーナルでは長い期間で綿密な査読があり、信頼性が高いというのが主な理由だと思われる。
  • 情報系:一方、情報系では、「技術の移り変わりが早いためジャーナルよりも短い期間で評価されて世に出る国際会議の方が重視される」という文化がある。松尾ぐみの論文の書き方:英語論文 | 松尾 豊
  • 実際に、論文の内容がすぐにオープンソース化されたりPythonのライブラリとなったりして、それを元にした論文がまたすぐに投稿される、というような分野なので、分野に合っている文化だと感じる。
他のカンファレンスとの比較
  • トップカンファレンスの特徴は3つあり、国際会議であり、査読付会議であり、その中で特にレベルの高い学会ということである。
  • この各々の特徴が採択を難しく、また権威を高くしている。
  • 採択率が低い(20%程度が多い?)という以外に、何を以って「トップ」足らしめているのかは知らない。ジャーナルのようにインパクトファクターのような指標が一般的な訳でもない。とはいえ、恐らくインパクトファクターのようにアクセプトされた論文が平均でどれくらい引用されているかといった影響力的な要素や、分野のトップ研究者が論文を投稿したり運営したりしているかといった人材的な要素等によって権威が保たれているのだと思っている。
ついでに形式や役割での比較
  • 一般的に想像しやすいフルペーパー口頭発表の他にも、ショートペーパー、ワークショップ、デモ、ポスター等の形式があるが、フルペーパーが特に手間がかかりレベルが高くなる。
  • 役割:メインで研究を進めてきた学生がファーストオーサーとなり、指導教官がラストオーサーとなることが多い。そのため、複数人の著者がいる論文は順番を見ると、メインの学生や指導教官を類推することができる。

 

トップカンファレンスに通すと世間的に良いことがあるのか?

日本では少し?最近は少しずつ、優秀なIT人材に高い初任給を設定する企業もで出てきている(なお低いが)。海外だともっと優遇されそうなイメージがある。カンファレンス会場でもでリクルートをされるとかされないとか。X大情報系の中で修士でトップカンファレンスにアクセプトされる人は何%みたいな定量的な数字があれば難易度が分かりやすいのになぁと思う。

 

実際にどんな会議があるのか?

f:id:decagon:20191123231956p:plain http://www.kamishima.net/soft/

コンピュータサイエンスの各分野の主なトップカンファレンス例は上の通り。この量のカンファレンスを正確にマッピングするのは至難の業なので、この図も完璧ではないと思うが概観の把握に大変適している。

 

上の図と併せると「top conference」とググって一番上に出てくるサイトguide2research( http://www.guide2research.com/topconf/  )の上位30会議くらい? 50会議くらい? までがトップカンファレンスと呼ばれるのかな。実際、境界は曖昧なものだと思う。google scholar ranking ( https://scholar.google.com/citations?view_op=top_venues&hl=en&vq=eng )で分野を絞ると同じようなランキングが出てくる。恐らくこれがguide2reserachの元データ。h5-indexという過去5年間にその学会で発表された論文の中でh回以上引用された論文がh本以上あるhの最大が比較指標として使われている。

 

例えば?

guide2researchに載ってるものを上から10個取ってくると以下のような感じ。

  1. CVPR - コンピュータビジョン(画像処理等)のトップカンファレンス
  2. NeurIPS - 機械学習系のトップカンファレンス
  3. ECCV - コンピュータビジョンのトップカンファレンス
  4. ICML - 機械学習系のトップカンファレンス
  5. ICCV -コンピュータビジョンのトップカンファレンス
  6. ACL - 自然言語処理のトップカンファレンス
  7. AAAI - AI系のトップカンファレンス
  8. EMNLP - 自然言語処理のトップカンファレンス
  9. CHI - ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)のトップカンファレンス
  10. SIGKDD - データマイニングのトップカンファレンス

 

どんな人が出しているの?
  • 大学:CMUCarnegie Mellon University), MIT(Massachusetts Institute of Technology), Stanford University を筆頭に世界中の大学。
  • 企業:Google, Microsoft, Facebookなどを筆頭に世界中の企業。

以上。

 

その他参考